仁和寺前ホテル計画の見直しを求めるアピールに賛同を!

シンポジウム 京都にはもうホテルはいらない

シンポジウム

冒頭発言 戦後三番目  京都のまちづくりの危機

広原 盛明(元府立大学学長/都市計画/実行委員長)

京都は、戦後20年おきに非常に大きなまちづくりの危機に直面しております。

最初の危機は、1970年代の公害です。京都はまわりを山に囲まれて、海から浜風が吹かない。循環しない。そのなかで自動車の排ガスがもうもうとなって、小学生が光化学スモッグでバタバタと倒れる。沿道の人たちの血中鉛濃度があがってバタバタと倒れるということが起こったんですね。

それから20年経ったときに起こったのは、高層マンションラッシュであります。ものすごい高さのマンションが、ところ構わず建つようになりました。住民が随分頑張って、マンション建設反対運動をやりました。

3番目が今なんです。京都でものすごい観光ラッシュが起こりました。2010年代の半ばに、安倍内閣が「観光立国政策」というのを成長戦略のトップに据えたんです。その一番の旗振り役が今の菅首相、彼は当時、観光大臣と言われたぐらい、えらい観光に熱心でありました。とにかくビザを緩和して、たくさん人を呼んでくる。呼んでくるにはホテルがいる。至る所にホテルを作らなくてはならない。それも富裕層向けのホテルがいる。先頭に立ったのが菅さんで、京都は、観光立国政策の一番の受け皿になった都市です。

2020年に4000万人、2030年に6000万人というとてつもない外国人旅行者を迎えるという計画が出た途端に、京都市は当時3万室あった宿泊施設を2020年までにもう1万室増やす、そのためにどんどん宿泊施設を呼ぶという方針をたてたんですね。

京都で民泊=簡易宿所が、2000件も3000件も一挙に増えました。ホテルも林立しました。そしてこのコロナを迎えたんです。僕は、門川さんがこれで反省すると思ったんですよ。辞書に反省という言葉がないんですかね。彼は、なかなか反省しない。

いま、京都のホテル稼働率は、外国人がほぼゼロで、日本人で約2割ぐらいです。ホテル経営というのは、7割から8割の客室が埋まらないと経営ができないわけです。簡易宿所の稼働率も大体2割ですね。私は、このコロナ禍の中でかなり廃業に追い込まれると思っています。東山区は路地の先まで民泊です。かつてはおじいちゃん、おばあちゃんが住んでいたのに、全部民泊に変わっちゃったんです。そこも全部空き家になってゴーストタウンになったら、京都は大変なことになる。

京都の町づくりを支えてきたのは京都市民です。

 今回の仁和寺前のホテル計画は、京都のなかでも最も優れた景観のところです。世界文化遺産は京都市民だけのものじゃない。世界のものですよ。その周辺のまちづくり協議会がOKと言ったから建つなんて、こんな馬鹿なことはないと思ってるんですね。ですから僕は、皆様方の叡智でこの暴挙を是非とも止めていただきたい。 私どももその一員となって頑張りたいと思います。(抄録/まとめ 編集部)

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