仁和寺前ホテル計画の見直しを求めるアピールに賛同を!

ユネスコ世界遺産センターと国際記念物遺跡会議(ICOMOS)に宛てて要請書を送る

世界遺産
世界遺産センターへの要請文(和文・英文)

「京都・まちづくり市民会議」「世界文化遺産仁和寺の環境を考える会」「広く住民の声を聞き、仁和寺門前のより良いあり方を考える住民の集い」の3団体は、ユネスコ世界遺産センターと国際記念物遺跡会議(ICOMOS)に宛てて、世界文化遺産仁和寺門前に計画されている建築基準を大きく上回るホテル建設計画について、要請書を送りました。

世界遺産・仁和寺前の緩衝地帯への大型ホテルの建設を
止めさせてください!

ユネスコ世界遺産センター所長 メヒチルト・ロスラー様            2021年9月1日

 仁和寺は、1994年以来17ヶ所の構成資産からなる世界遺産「古都京都の文化財」のひとつです。その卓越した普遍的価値は世界中の人びとに知られています。しかし仁和寺は、今、かつてない危機に直面しています。 

 京都市当局が仁和寺南側の世界遺産緩衝地帯の敷地に大型ホテルの建設を許可しようとしているのです。この敷地でホテルを建設する場合は、建築基準法で床面積3000平方メートル以下に限り建設できることになっています。しかし京都市当局は、開発業者の要望を優先し、床面積5,800平方メートルのホテルの建設を例外的に承認しようとしているのです。 

  仁和寺の二王門からは、南に双ヶ丘、西には山々のなだらかな稜線を楽しむことができます。近隣の住民は、東山連峰から昇る朝日や西山連峰に沈む夕日を眺め、古都で古くから育まれ愛されてきた仁和寺周辺の美しい景観、静かな雰囲気の中でゆったりと暮らしてきました。

この大きなホテル建設によって多くの宿泊客が昼夜を問わず出入りし宿泊することで、古くから人々の心の古里として愛されてきた仁和寺周辺特有の雰囲気・景観や静かな生活環境が一変し、これまであったこの場所の心安まる雰囲気が壊されることは明らかです。だれもが平等に楽しむべき京都の美しい景観、住民の静かな生活環境は守られなければならないものです。 

 「世界遺産条約の実施のための運用ガイドライン」の第104条には、「緩衝地帯とは、指名された不動産を取り囲む地域で、その使用や開発に法的および/または慣習的な制限が加えられ、不動産の保護を強化している地域のことである。この緩衝地帯には、推薦物件の周辺環境、重要な景観、推薦物件とその保護のために機能的に重要なその他の地域や属性が含まれるべきである」とあります。 また、第172条では「できるだけ速く(例えば、特定のプロジェクトの基本文書を起草する前に)、また、覆すことが困難な決定を行う前に委員会に通知を行い、委員会が、不動産の顕著な普遍的価値が完全に維持されるよう、適切な解決策を模索するよう支援を求めるべきである」と書かれています。しかし日本政府と京都市当局は、市民団体や弁護士団体から指摘されているにも拘わらず、この手続きを怠っているのです。 

  これまで私たち京都の市民運動団体は、世界遺産リストからリバプールが不適切な開発ゆえに抹消されたと同じことにならないように、世界遺産仁和寺の緩衝地帯への大型ホテル建設計画に反対してきました。私たち市民運動団体による仁和寺近隣住民への綿密なインタビューの結果、仁和寺近隣住民の70%がホテル建設に同意していないことが明らかになりました。 

  私たちは、貴機関に、世界遺産条約及びその作業指針に反する仁和寺の緩衝地帯に大型ホテルを建設する問題について詳細な調査を行い、京都市当局に対し厳重な警告を発せられるよう強く要請するものです。

なおこの要請文は、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)にも送りました。

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