仁和寺前ホテル計画の見直しを求めるアピールに賛同を!

共立メンテナンスによる有価証券報告書の
虚偽記載に関する調査要請

京都・大阪の弁護士51名金融庁に2021年8月1記者会見記者会見 (株)共立メンテナンス
2021年8月13日 記者会見(京都・大阪の弁護士51名金融庁に調査要請書提出)

 仁和寺前ホテル計画事業者の(株)共立メンテナンスは、2020年3月、守口市の学童保育受託事業で、ベテラン指導員13名を雇い止め、うち10名から訴えられました。その後も交渉に応じないという不誠実な態度をとり続け、中労委から命令を受けた企業です。今年の有価証券報告書には「労働組合はない。訴訟はない。労使は円満」と記載。
この真っ赤なウソ(虚偽)に対する調査を求めて、京都・大阪の弁護士51名が内閣総理大臣/金融庁長官/証券取引等監視委員会に要請文を送りました。

当該地から仁和寺二王門前をのぞむ
20210813 記者会見より(抄録)

1.この問題は、このまま放置するわけにはいかない

中島  晃(弁護士)

 実は、この問題はどうしても黙っているわけにはいかないという思いで、私ども3名(塩見卓也弁護士・中島晃弁護士・森田浩輔弁護士)が京都と大阪の弁護士に呼びかけまして、共立メンテナンス(東京)への調査を求めて、内閣総理大臣、金融庁長官、証券取引等監視委員会に提出することにしました。
 共立メンテナンスが、世界文化遺産仁和寺の門前にホテルを計画しているわけで、京都市が作りました「上質宿泊施設誘致制度」要綱に基づいて、今年の4月、上質宿泊施設の第一号に選定されています。その直後に事業者が不当労働行為をして中央労働委員会から命令書の交付を受け、そのため京都市からも入札停止処分を受けている。これで、本当に「上質宿泊施設」に選定したことがいいのかについて疑問があるということで、先に京都市に申入をしているわけですけれども、京都市の方は「構わない」と言っています。
 ところが、この問題だけではなく、共立メンテナンスは、有価証券報告書に虚偽の記載をしていることが明らかになったので、私たち基本的人権と社会正義の実現を使命とする弁護士と言う立場から、この問題をこのまま放置するわけにはいかないと考えて、所管する関係行政機関に対して、速やかに調査を遂げたうえ、厳正な処分を行うよう要請するものです。
 具体的になにが問題か。
 有価証券報告書は抜粋です。(インタネットでだれでも見られます)
 今年の6月25日に関東財務局長宛てに提出(事業年度2020年4月1日~2021年3月31日)しています。
「当社グループには労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております」と書かれています。最後に訴訟についても、「該当事項はありません」と書いてありますが、これは、真っ赤なウソであります。明らかな虚偽記載ですね。
 共立メンテナンスが、憲法で保障されている団結権などの労働者の人権をふみにじり、労働委員会から救済命令をうけており、そこで働く労働者から雇い止めが無効だとして訴訟を起こされている事実は、いずれも有価証券の評価に関わる重要な事項でありますから、これに虚偽の記載を行ったことは許しがたい犯罪であると言わなければなりません。
 私たちはこの問題に関心のある弁護士に呼びかけて、合計51名の弁護士が調査要請をしました。

2.現在訴訟をやっている最中「訴訟 該当事項なし」は 100%ウソ 

塩見 卓也(弁護士)

 「訴訟 該当事項ありません」というのは、現在訴訟をやっている最中なので、100%ウソであるというのは間違いない話です。現在労働組合は結成されていませんというところも、労働組合との争議をやっているところなので、100%ウソと言うことになります。
 今回の賛同者には大阪の弁護士事務所からもたくさん入っていただいたんですけれども、事件の話を聞いています。中労委からの命令を履行するには、「不当労働行為があったことを認める文書」を手渡さないといけないんですが、手渡したんじゃなくて、初審で府労委が命じた「勧告案」のコピーに、日付を手書きしたものを個人宅に送りつけてきた。しかも書かれていた社長の名前は、前の社長(勧告案当時)のままやったらしいですね(社長は新社長に替わっている!)。組合としては「何事や、ちゃんと自分たちで作った文書で持ってこんか」ということなんです。
 団体交渉も一方的に日時を決めて、人数制限もして勝手に決めてくる。…団体交渉の常識としては、先に日程調整や人数は、予備折衝としてすりあわせて、その中味に基づいて交渉を行う。これで「団交に応じました」という形をとるのが普通です。
 共立メンテナンスは、労働組合に対してやったらあかんことを全然理解してないんだと思うんです。だれが組合に入っているかは、会社には開示してなかったんですが、組合としてはそんなことをやる必要は全くなくて、代表者がだれで、あなたの事業所のなかに組合員がいます、ということさえ通告すればいいんです。組合員全員の名簿を会社に提出すれば、攻撃されたりするんで、そんなことを明かす必要はないわけです。
 逆に言えば、会社の方でだれが組合員かと言うことを調査するのも違法行為なんですね。
 ところが訴訟の中で、「だれが組合員かを調査していた」という主張が出てきた。
(※共立は、府労委の事件では、「誰が組合員であるかは委員長を除いて知らない」と主張していた。しかし、大阪地裁の地位確認請求事件では、組合員の氏名が記載された労働組合の内部文書等を入手しており、雇止めした指導員が組合員かどうかすべて把握していた)
 労働組合に対してどういう扱いをしていいのかがホントにわかっとらんのやなという状況です。だからこそ、こういう事件も起きた。不当労働行為も起きたということです。
 共立メンテナンスは、だれが組合員かを調べて、組合員の学童保育指導員を雇い止めした。「雇い止め自体が明らかに不当労働行為と言えるのではではないか」と訴訟の方はすすんでいます。
 それだけあからさまな違法行為をやっておきながら、有価証券報告書に「円満に推移しております。組合はありません。訴訟もありません」と書くのは、ほんとうにあからさまなウソだなと言わざるを得ない。
 有価証券報告書への虚偽記載については、私のような労働弁護士の観点からみたら、あからさまな違法行為をたくさんやっている会社は、それは株価にも影響する話だろうと思います。
 なぜならこの会社はドーミーインをはじめとするホテル事業をやっているわけですけれど、いまどこの事業者も人口減少で若者が少なくなり、人手不足が問題になっている状況です。サービス業というのは、人がいないとサービスが提供できないわけですから絶対人手が必要です。そうしたなかで、これだけの労働法規違反を行う。
 「ここで働いたら自分もどんな扱いをされるかわかったもんじゃない」という評価が定着してしまえば、その会社で働く人はいなくなるだろうと(かつてのワタミの例)、これだけの労働法規違反をやっていることは、経営にも株価にも影響することだと私は考えます。
 あからさまなウソが有価証券に書かれて、これを参考に取引をしているということであれば、非常に問題ではないかと思うところであります。  

3.「上質宿泊施設」に選定される企業として 到底ふさわしくない

森田 浩輔(弁護士)

 「上質宿泊施設誘致制度」との関係では、京都市に対しても申し上げているとおりで、そういう違法な不当労働行為をしていることも含めて、安定した雇用の創出に資する企業だとはいえないことは、この事実からも結びつけられるでしょうし、株価が下がるような行為であることであれば、場合によっては、株主から損害賠償請求というリスクを負うわけですし、やはり「上質宿泊施設」に選定される企業としても到底ふさわしくない企業だと言うこともこのことからも言えると私は思います。

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