仁和寺前ホテル計画の見直しを求めるアピールに賛同を!

仁和寺のバッファゾーン(御室衣笠特別保存地区)住民の世界へ向けてのアクション

世界遺産
バッファゾーンエリアとホテル建設の説明・意見照会範囲

 古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)(Historic Monuments of Ancient Kyoto (Kyoto, Uji and Otsu Cities)の構成資産のひとつ、仁和寺のバッファゾーン(御室衣笠特別保存地区)に居住する245名が、連名でユネスコ世界遺産センターと国際記念物遺跡会議(ICOMOS)に宛てて手紙とメールを出しました(10月1日付)。住民が直接世界へ向けて発信した、いわば直訴状です(原文は、英文)。
 手紙では、ニュージーランド代表団によって提案され、2007年の世界遺産委員会において戦略的目標に追加された5番目のC(コミュニティ)の意義を京都市当局が軽視していることを指摘しています。
 封入書類は次の2点です。
1 要請文(連名署名付き)
1 バッファゾーンと、これまで京都市と事業者が説明対象とした範囲を示すラップ図(バッファゾーンエリアのなかでも狭い範囲の住民を説明対象として区切り、コミュニティ内に情報格差を生み出してきたことが一目瞭然)

 仁和寺前ホテル建設計画は、数々の問題点があり、京都弁護士会はじめ、弁護士有志、学者・文化人のアピール、市民団体による地元住民の調査、周辺環境への懸念など、様々な角度からその問題点が指摘されています。
 世界文化遺産の目と鼻の先の場所への大型宿泊施設誘致については、このまま特例許可へ向けて邁進することは許されるものではありません。
 

ユネスコ世界遺産センターとイコモスへ送った手紙(書留)

世界文化遺産仁和寺のバッファゾーン内への富裕層向けホテル建設計画を許可しないよう京都市に勧告してください

ホテル建設計画に多くの住民と京都市民は心を痛めています。

ユネスコ世界遺産センター所長                                               メヒチルト・ロスラー様 

私たちは、古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)(Historic Monuments of Ancient Kyoto (Kyoto, Uji and Otsu Cities)の構成資産のひとつ、仁和寺のバッファゾーン(御室衣笠特別保存地区)に居住する者です。仁和寺の門前は静かな住宅地で、この場所に富裕層向けの大型宿泊施設を建設することに私たちは到底同意できません。

 多くの住民は、コロナ禍以前に京都で起きたオーバーツーリズムによる諸問題、たとえば交通渋滞、混雑、公共交通機関の遅延などの事象が、再び起こるのではないかと危惧しています。それは、住民にとって2度と味わいたくない経験だからです。

 また、幾世代もの人びとが大切に育んできた仁和寺門前の優れた景観が、その場所の感覚(sense of place)にふさわしくない建築物によって台なしになることにも私たちは心を痛めています。

 優れた景観は、世界の宝物です。私たちは、豊かな自然と住環境、文化・教育環境を守り、次の世代に引き継ぎたいと心から願っています。

下記のニュージーランド代表団によって提案され、2007年の世界遺産委員会において戦略的目標に追加された5番目のC(コミュニティ)の意義を京都市当局が軽視していることを私たちは指摘せざるを得ません。

コミュニティの役割の重要性(2012「京都ビジョン」外務省仮訳)

 我々は,世界遺産条約の履行において,5つの戦略的目標の5番目の「C」(2007年採択※)及び戦略的行動計画2012-2022にもあるとおり,地域社会と先住民を含むコミュニティが重要な役割を果たしていることを何度でも強調する。(※世界遺産条約履行のための戦略的目標「5つのC」:「信用性の確保(Credibility)」、「保存活動(Conservation)」、「能力の構築(Capacity building)」、「意思の疎通(Communication)」、「コミュニティの活用(Community)」)             (2002年の世界遺産委員会で採択。5つめのC(コミュニティ)は、2007年の世界遺産委員会で追加された)

バッファゾーンエリア(赤い線で囲ったエリア)とホテル建設の説明・意見照会範囲の部分の部分)

 京都市と事業者が、ホテル建設について説明した地域住民(local residents)の範囲はごく狭いものでした(地図参照)。計画の詳細を知り、意見や質問を述べることができたのは、バッファゾーン内に住む住民のごく一部に過ぎません。バッファゾーン内への大型商業施設誘致については、京都市は本来なら市民全体に説明し意見を求めるべきです。2020年1月、周辺住民500人が「せめてバッファゾーン内の全住民の意見をきいてほしい」との要望書を京都市に出しましたが、聞き入れられませんでした。

 私たちは、このホテル建設計画が、世界遺産履行のための戦略的目標「5つのC」から逸脱していることを指摘しなくてはなりません。

 貴世界遺産センターにおかれましては、この計画への調査と「建設許可を出さぬよう」京都市に対し勧告してくださいますようお願い致します。

 なお、この要請文は、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)にも送りました。

仁和寺のバッファゾーン(御室衣笠特別保存地区)に居住する者 245名

イコモスのProf. Dr Teresa Patrício には、メールも送り、下記の返事をいただいたとのことです。

I hereby acknowledge receipt of your message which I will forward to our world heritage unit for appreciation.

Sincerely

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