(株)共立メンテナンスから突然雇い止めされ、理不尽な扱いを受けてもなお職場復帰を求めて闘い続けておられる原告団のみなさまに敬意を込めて、連帯の挨拶を送ります。
コロナ禍の2020年春、新聞各紙が報じたのが「守口市の学童保育受託事業で、ベテラン指導員13名雇い止め」の記事でした。「このような酷いこと」をした企業=(株)共立メンテナンスは、仁和寺前ホテル計画の事業計画主でもあります。
世界文化遺産仁和寺の二王門。道路をはさんだ真ん前に空き地が広がっています。
2019年の6月初旬、「地元同意を得て、ここにホテル建設計画が許可に向けて動き出す」との記事が大きく報道されました。近隣の一人の住民が「おかしい。いつのまにこんなことになったのか!」と声をあげたのが、私たちがこの運動に取り組むきっかけでした。
当時、京都市は「観光立国」という国の政策の優等生として、外国人観光客を呼び寄せ、ホテル誘致に邁進していました。観光公害が大きな問題となり、2020年の京都市長選の大きな争点にもなりました。現市長は、2017年5月「上質宿泊施設誘致制度」という法律や条例の特例を前提とした誘致制度を策定。調べによれば、制度策定の5ヶ月以上も前の2016年12月、土地の債権を取得していたのが(株)共立メンテナンス=ホテル事業計画者だったのです。
私たちは、「景観守れ。制度適用しないで」と、地域にチラシを配布し、請願署名・陳情、市への申入などの取り組みを進める中で、(株)共立メンテナンスがドーミーインなどのホテル事業の他、自治体の事業も受託していることを知りました。京都市の「上質制度」が謳う「上質選定」を受けるに全くふさわしくない企業であったことは、2020春以降の原告団のみなさまの闘いがはっきりと示しています。
仁和寺周辺には、保育園、児童館、小中学校、府立ろう学校、就労支援事業所、放課後デイなどの施設がたくさんあります。この地域は、さまざまな施設の子どもたちの散歩コースでもあり、豊かな情操を育む場所でもあります。施設職員は、市民の暮らしを支え、心を育む大事な仕事です。だからこそ、皆さん方の「雇い止め事件」は、あってはならないこと。私たちも一層の怒りと共感を持って受け止めています。
自治体の大切な部門を「儲け主体」の企業に業務委託をすべきではない。原告団の皆様が、勇気を持って立ち上がったことは、企業の雇い主としての姿勢をただすことでもあり、自治体の責任を問うことでもあります。全国で進められようとしている自治体による民間委託事業のありようも問われます。
自治体が寄り添うべきは企業ではなく、住民・市民です。
強大な力を持った相手に対して、一見小さな私たちですが、大きな志を持っているのは、私たちの側(がわ)です。
企業と自治体の責任を問い、原職復帰を求めて闘ってこられた原告団のみなさま、
ともに頑張りましょう!
「仁和寺前ホテル見直し」を求め、京都のまちづくり運動を通して自治体の姿勢を問い続けてきた「世界文化遺産仁和寺の環境を考える会」からの連帯の挨拶と致します。
2022年2月13日
世界文化遺産仁和寺の環境を考える会
共同代表 桐田 勝子
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