2022(令和4)年3月2日、学者・研究者32名が、京都市長と上質宿泊施設候補選定に係る有識者会議座長 宗田 好史氏に対して、仁和寺前ホテル計画について「上質宿泊施設由誘致制度候補選定」の撤回・再検討を求めて申入れをしました。
(京都大学・京都府立大学・同志社大学・立命館大学・龍谷大学・京都橘大学・日本福祉大学・酪農学園大学・滋賀大学・滋賀医科大学・大阪市立大学・大阪市立大学大学院・神戸大学・広島大学・神戸松蔭女子学院大学・奈良女子大学・兵庫県立大学の32名の連名)
申 入 書
「徒然草」の「仁和寺のある法師」で知られた、世界文化遺産仁和寺の門前に、現在、株式会社共立メンテナンス(本社:東京都千代田区)がホテル建設を計画しています。京都市は、上質宿泊施設誘致制度要綱を定めたうえ、このホテル計画を上質宿泊施設の第1号に選定して、建物の延床面積を緩和するなど優遇措置を講じようとしています。
ところが、今回のホテルを計画している共立メンテナンスが労働委員会から不当労働行為により2回にわたり命令書の交付をうけ、このため京都市より法令違反を理由に2021年5月18日から同年7月20日まで入札参加停止措置を受け、さらに同年10月15日から2ヶ月以上で、かつ違反が是正されるまで指名停止を受けていることが明らかになっています。このように共立メンテナンスが2回にわたって、労働委員会から労働組合との団体交渉の拒否や雇止め等が不当労働行為にあたると指摘されていることはきわめて深刻であり、京都市が今回のホテル計画を上質宿泊施設に選定したことについては、上記誘致制度要綱で定めている「雇用の創出・安定化」に寄与するとしたことについては、その妥当性に疑問があるとの声が上がっています。
しかも、それにとどまらず、共立メンテナンスが大阪府守口市から委託をうけた学童保育で、2020年3月末に雇い止めをされた指導員が同年5月、共立メンテナンスを相手どって、大阪地裁に雇い止めは無効だとする訴訟を提起していますが、共立メンテナンスが2021年6月金融庁に提出した有価証券報告書には、労働組合は結成されておらず、労働関係は円満に推移している、また「訴訟」について該当事項はないと記載しているなど、虚偽の記載を行っていることが明らかになっており、このため弁護士有志51名が金融庁などに有価証券報告書の虚偽記載に関して、調査を求める要請を行っています。
以上のような事実が判明していることからいえば、共立メンテナンスによる今回の仁和寺門前のホテル計画について、これを上質宿泊施設に選定することは、「雇用の創出・安定化」に寄与することを要件としている、上記誘致制度要綱に適合しているといえるか疑問があるばかりでなく、自治体や市民の良識に照らしてみても、著しく不合理であり、非常識な判断だといわなければなりません。
そこで私たちは、今回の共立メンテナンスによるホテル計画について、京都市が上質宿泊施設に選定したことは、重大な疑問があることから、これを撤回するなど根本的な再検討を求めて、この申し入れを行うものです。
京都市及び上記誘致制度に関する有識者会議におかれては、私たちのこの申し入れを真摯に受け止め、今回の選定についてあらためて再検討を行うよう切に望むものです。
なお、この申し入れに対して、どのように対応されるか、本申し入れのときから2週間以内に文書にもとづいて回答されるようあわせて要請するものです。
以 上
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